心得12
『傲慢な相手なら遠慮なしに叩き潰せ。未熟な相手ならば慈悲心を拳に込めて闘え。野蛮を倒し、弱者に情けを掛けるのが武人の心』
あいさつ
明けましておめでとうございます。
年初ということで、2022年の1回目は精神論である『心得』からスタートします。
今回の『心得』は一言で言うと「武の心」(武人の心)です。
【解説】
《武の心とは?》
武の心とは何でしょうか?
とても難しい難問です。
この答えを求めて武道者はひたすら稽古しているのかもしれません。
この答えはもしかすると人によって微妙な違いがあるかもしれません。
今回は、私の考える「武の心」を語ります。
武術や武道は「力」を持つことです。
その力とは「戦う力」であり、同時に「守る力」でもあります。
しかし、戦う力とは決して無分別に誰かを傷つけることではないし、無慈悲に誰かを再起不能にすることでもない。
武術、武道を身につけるとは、戦う力の奥にある「武の心」を身につけるものであると言えます。
「武の心」とは?
社会全体の大きな視点で見れば、
「聖なるものを守る使命感を帯びた心」
「大切な人を守る責任感を帯びた心」
「悪を許さず、正義を実現する使命感を帯びた心」
「腐敗を憎み、清らかさを求める清浄なる心」
と言えるでしょう。
個人的な視点に立てば、
「弱き自分に勝つ強い心」
「欲に振り回されないで生きる心」
「苦難に耐えしのぶ心」
「悪の道に入らず、正しさをとどめる心」
「誘惑を断ち切り、独立自尊を保つ心」
「礼節を身につけ誠に生きる心」
「強くなればなるほど謙虚さを身にまとう心」
「たくましくなることで優しさを身につける心」
と言えます。
これらの中で共感するものがあれば、それがあなたの心に潜む「武の心」です。
《武の心の特徴とは?》
では、「武の心」の特徴とはなんでしょうか?
結局「武の心」とは「正義」と深く結びついています。
ですから、悪を憎み、悪を粉砕する精神(心)こそ「武の心」の発露と言えます。
世の中には他人を騙したり、不正をして私欲を満たしたり、弱いものイジメをしてみたり、他人を苦しめたりする者たちが存在しています。
もし、そうした人としての正しい生き方から踏み外した者たちが幅を利かせていたら社会はどうなるでしょうか?
弱者は強者の犠牲になるだけの社会となり、悪知恵を働かせたものが得をする世の中となってしまいます。
そうした傲慢な者たちと戦うには弱い心では立ち向かえません。
つまり、平和や幸福を守るためには「強き心を持った者」の存在が必要とされる、ということです。
本来、武術や武道はそうした強き心を持つものを育成するためにあるものであると、私は思っています。
ですから、武道の試合においても、相手を殺すような殺気は必要ありません。
「殺気」と「闘気」とは似て非なりです。
武術や格闘技では強い者が勝ち、強さのみ求められる傾向性も一部ありますが、「殺気」のみの強さとは野蛮な強さであり、獣の世界の表現でしかありません。
人としての強さとは必ず「礼の心」「誠の精神」「慈悲」に通じていきます。
ですから、戦いにおいても相手が負けを認めた場合には、「手心を加える」「相手を受け容れる」という精神が大切となります。
《守護者としての心》
結局、武術や武道を修練して戦闘術を身につけることは「武の悟り」を身につけることが終着点としてある、ということです。
単なる肉体の強さではなく、肉体を強化していく奥に「精神の悟り」がある、ということです。
武の心とは「弱きを助け、悪を挫く精神」。
武の心とは、「聖なるものを守るための力を生み出す源泉」。
武の心とは、「正義を実現する必須の力の顕現」。
優しくあるためには強くなければならない、ということです。
強さを持たない優しさは優柔不断や甘やかしにつながりやすくなります。
真に人を愛し、真に人を生かすには、強い精神が必要です。
強い精神は、強い肉体に宿ります。
正しき武の心とは、「野蛮」とは無縁のものであり、「聖なる力」を持つものです。
強くなるごとに優しくなってください。
優しくなるために強くなってください。
正義を実現するために強くあってください。
人生の苦難困難に負けないために強くあってください。
誰かを守るために強さを身にまとってください。
武の心の究極には神がいると思うのです。
武の神の心と同通した者こそ真の強さを発現する者なり。
《まとめ》
武術や武道の「力」とは、「戦う力」、「守る力」。
武術、武道を身につけることは、戦う力の奥にある「武の心」を身につけるためのにある。
「武の心」とは「正義」と深く結びついている。
悪を憎み、悪を粉砕する精神(心)こそ「武の心」の発露。
本来、武術や武道は「平和や幸福を守るための強き心を持った者」を育成するためにあるもの。
「殺気」と「闘気」とは似て非なり。
「武の心」は、「礼の心」「誠の精神」「慈悲」に通じていく。
武術や武道の終着点は「武の悟り」を身につけること。
単なる肉体の強さではなく、肉体を強化していく奥に「精神の悟り」がある。
武の心とは「弱きを助け、悪を挫く精神」。
武の心とは、「聖なるものを守るための力を生み出す源泉」。
武の心とは、「正義を実現する必須の力の顕現」。
優しくあるためには強くなければならない。
武の心の究極には「神」がいる。
武の神の心と同通した者こそ真の強さを持つ者なり。
『心得12』
『傲慢な相手なら遠慮なしに叩き潰せ。未熟な相手ならば慈悲心を拳に込めて闘え。野蛮を倒し、弱者に情けを掛けるのが武人の心』
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