
勝利の秘訣【技術編】15
『無駄な動きを無くせ。スタミナを浪費するな。肩の力を抜き自然体から技を繰り出せ! すべての技をスピードアップさせろ!』
【解説】
《無駄な動きと無駄な力》
今回のテーマは武道初心者(武術初心者)にとってふさわしいテーマとなっています。
しかし、この関門を通らず別の道に入ってしまうと、「勝てない」「上手くならない」という苦悩を後々抱えることになりますので、初心者のうちに身につけておきたいものです。
それは「無駄な動きを無くす」ということです。
無駄な動きとも絡みますが、根本的な課題として出てくるのが「無駄な力を抜く」ことです。
武道初心者はぜひこの課題は黒帯を取る前に克服してください。

〈無駄な力とは〉
無駄な力とは「力み(りきみ)」です。
自然体の状態ではなく、“不必要な力”が無意識に体のどこかに入っている状態です。
たいていの場合は「拳」と「肩」に力みが発生していることが多いです。
なぜ、拳と肩に無駄な力みが発生するのかというと、「緊張」と「間違った身体力学を持っている」からです。
緊張すると人間の身体は硬直します。
硬直とは無駄な力みによる反応です。
ですから、緊張による力みは「心の余裕」及び「緊張を解く」ことで無くすことができます。
問題なのは、「間違った身体力学を持っている方」です。
全ての人とは言いませんが、武術を経験したことのない人は「力を込めれば力がでる(発生する)」と誤解しています。
武術における「力」とは、身体構造を利用して力を生む、又は相手の力や動きを利用して力を生むことです。
身体構造を利用して力を生むとは、「腰」「身体の軸を利用する」「体重移動」などによって力を発生させるものです。
基本的に特定の技を出す筋肉は必要ですが、全体的にみれば無駄な力みは力を生むどころか力を半減させます。
この矛盾のように聞こえる課題を克服しないと武道(武術)の奥へと行けません。
基本的に、無駄な力みは技のスピードを遅らせ、力を半減させます。
このような内容を文字情報として伝えることは大変難しいのですが、武術(武道)における力の発生方法は「柔らかく構える」「脱力しているようなリラックス状態に近い」という状態から“瞬間的に動く”ことで特定の技への力が発生するものです。
無駄な力を抜くことの必要性は、無駄な力みがあると「スピードが出ない」ことと、無駄な力みがあるために「無駄な動きが出る」ことです。
力が入っているようでいて脱力状態に近い。
覚えておいて欲しいのは、「瞬間的(すばやく)に動くためには無駄な力みがないこと」が必須だということです。
無駄な力みとは硬直を生むものと覚えておいてください。

〈無駄な動きは〉
何が無駄な動きで何が無駄な動きではないのかを判断することは難しいですが、やはり武術において無駄な動きというものはあります。
無駄な動きの究極は、「相手にこちらの動きを読ませてしまうもの」です。
要するに、「あ、来るな!」と相手に攻撃の瞬間を察知させてしまうような動きが無駄な動きの極みです。
他にも意味のないフェイント、取りあえず出してみた技などがあります。
特に気をつけておきたいのが「癖」です。
特定の癖は動きを読まれる判断材料となることがあります。
よくある無駄な動きとは運動力学から離れた動きでもあります。
また、相手を翻弄するためにフェイントもどき、または伏線のない“取りあえず出してみた”という技です。
技を出すからには出した後の展開がなくてはなりません。
究極的には無意識に技が出ることが最良の境地ですが、当然武術初心者の方はそうはいきません。
取りあえず蹴ってみた、取りあえず突いてみた、取りあえずフェイントをかけてみた、という動きはほとんど勝利には結びつけません。
なぜなら、ほとんどの場合、特定の相手に対する有効な戦術(闘い方)になっていないからです。
無駄な動きを無くす前に、無駄な力みを無くすこと。
無駄な力みや無駄な動きの最大のデメリットは、「余計な体力(スタミナ)を消費してしまう」ことです。
スタミナの浪費は、攻撃技を出すスピードを遅らせるだけではなく、反応速度も遅らせます。
また、戦闘中の思考も鈍感となっていきます。
ですから、無駄な体力を消耗しない闘い方を身につけなければなりません。
上級者になればなるほど、無駄な動きはなくなる、と覚えておいてください。
だから、自主練習の際に、「この動きはどんな意味があるのか」と考えることも大切です。
無駄な動きは“技の出し方”そのものにも潜みます。
そうした場合、たいていは技の基本からどこかが外れ我流となっているはずです。
肘が開く、狙った箇所に無意識に目が行っている(この場合相手に攻撃が読まれます)、肩が上がる、攻撃に入る前に身体が沈む、など。
我流とは要するにそのひと固有の「癖」です。
可能な限り変な癖は無くすこと(身につけないこと)です。
自分では分かりづらいので他人に訊いてみるといいでしょう。
《基本動作からズレた癖を無くす》
「無駄な力みを取る」
「意味のない動きをしない」
「基本からズレた癖を無くす」
これがあって初めて技のスピードアップが可能となります。
パワーよりもスピードがより重要です。
実戦(本当の闘い)では、先に技を当てた方が有利となります。
ですから、スピードを遅くする要素を身に着けてしまうと“勝ち”が遠ざかると思ってください。
一見すると脱力したような状態は無駄な力みがない状態でもあり、だからこそ“瞬間的に動作に入れる”、ということを体感で理解できれば、一端(いっぱし)の武道者(武術者)になったと言えるでしょう。

《まとめ》
初心者のうちに身につけておきたいものは、「無駄な動きを無くす」こと。
根本的な課題として出てくるのが「無駄な力を抜く」こと。
無駄な力とは「力み(りきみ)」。
自然体の状態ではなく、“不必要な力”が無意識に体のどこかに入っている状態のこと。
無駄な力みが発生する理由は、「緊張」と「間違った身体力学」。
武術における「力」とは、身体構造を利用して力を生むもの。身体構造を利用して力を生むとは、「腰」「身体の軸を利用する」「体重移動」などによって力を発生させること。
無駄な力みは技のスピードを遅らせ、力を半減させる。
「瞬間的(すばやく)に動くためには無駄な力みがないこと」が必須。
無駄な動きの究極は、「相手にこちらの動きを読ませてしまうもの」
無駄な力みや無駄な動きの最大のデメリットは、「余計な体力(スタミナ)を消費してしまう」こと。
無駄な動きは“技の出し方”=我流
「我流」とは要するにそのひと固有の「癖」
一見すると脱力したような状態は無駄な力みがない状態でもあり、だからこそ“瞬間的に動作に入れる”
技術編15
『無駄な動きを無くせ。スタミナを浪費するな。肩の力を抜き自然体から技を繰り出せ! すべての技をスピードアップさせろ!』
押忍!