<strong>『技術編12 ~体重移動によってエネルギーを生み出せ!~』</strong>
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勝利の秘訣【技術編】12

『体重移動によってエネルギーを生み出せ。拳と蹴り足に体重をのせろ! 腰は低く。重心は前に。身体の軸を保ち、バランスを維持しつつ素早く移動する。筋力に頼らずに力を生み出せ! 体重移動を極めれば技は縦横無尽、変幻自在である!』

【解説】

《武術における動力源は「体重移動」》

武道(武術)初心者にとって難しいことが「エネルギーを生み出す動力源がなんなのかが分からない」ということだと思います。
立ち技系の武術または格闘技は「拳(腕)」と「足(脚)」を武器とします。
拳→突き(パンチ)など
足(脚)→蹴り
ですが、いかに威力のある突きや蹴りが出せるのか、ということにおいて武術は奥が深いのです。
武術に関しての“目”を持っていなければ、初心者と熟練者の動き(突きや蹴りなど)が一見同じ見えるかもしれません。
しかし、小手先だけの動き(突きや蹴りなど)と武術の原理にそった動きではまるで別物と言っていいほど離れているのです。

武術は拳と足(脚)を使用しますが、素人は、突きならば拳(=腕)に力を込めます。
蹴りならば足(脚)に力を込めます。
もちろんまるっきり力を入れないということではないのですが、力が発生している源流というか大本の動力源が違うと武術にはならず、“武術もどき”となってしまいます。

では、武術におけるエネルギーの発生源(動力源)とはなにかというと、それが「体重移動」なのです。
もう一つ力を生み出すものが「腰の動き(使い方)」なのです。

つまり、体重移動や腰から発生させた力を拳と足(脚)に乗せるということが武術なのです。
別な言い方をすれば体重移動や腰から発生させた力を腕や足(脚)に“伝える”ということです。
決して腕の力、脚の力で技を出すような動きは身につけないでください。

《体重移動で力を生み出す際の注意点》

体重移動で力を生み出す際の注意点とは何か?
正しい姿勢ができていないと武術においては正しく体重移動の力は発生せず、また技につながりません。
そうなると見た目は似ていますが、それはただ筋力による技でしかないのです。
筋力による技の一番のデメリットは年齢とともに戦闘力が落ちる、ということです。
実際、スポーツでは活躍できる年齢が限られていて熟年となって現役選手でいられる人は皆無です。
しかし、武術(武道)は違います。
老年となって体力が落ちても若輩の者を相手に負けないのです。
逆に熟年となることは熟練となることで、歳を重ねるごとに強くなるのが武術の世界なのです。
それはなぜかというと、筋力に頼らない動きをしているからです。
そこがスポーツと武術が一番大きく違うことです。

正しい姿勢とは?
流派によって違いはあるでしょうが、ここでは基本的な姿勢について語ります。
腰は低く(腰を落す)、重心は若干前(つま先に重心がかける)に、頭の天辺からお尻に一本の軸を立てて体の軸を維持する。
力(筋力)は抜き、呼吸は腹の底(臍下丹田)で行う。
顎は引き、目線は相手の全体を捉える。
一点を集中して見ているようで全体を捉え、全体をぼんやりみているようで一点の変化を見逃さない。
そういう見方をする。

重要なことは体重移動によって力を生み出そうとする際に姿勢が崩れていると体重移動が上手くできず、バランスを崩してしまうことです。
武術においてバランスを崩すとは、力が技にこもらないというだけに留まらず、動きが遅くなる、隙が出来るということにつながります。

正しい姿勢を維持する
初心者の方はまずは静止した状態でつくることです。
初心者のうちは、自分の姿勢を念入りに点検することです。
その後、どんなに動いても姿勢が崩れないことを意識して練習することです。

重要なのでもう一度言います。
どんなに激しく動いても「姿勢が崩れない」ことが力を生み出す必要条件なのです。
頭から手先、足先までひとつの動きとすることで技が技として成立するということが武術では求められるのです。
ただし、筋力が必要ではない、と言っているのではありません。
当然、筋力は必要です。
ですが、絶対に筋力は年とともに衰えます。
筋力は必要であり鍛えなければなりませんが、力を発生させる動力源を理解し習得することが武術の重要な修練であることを理解してください。

《体重移動は武術の要中の要》

基本的に筋力は衰えますが、一度見に染み込んだ武術の姿勢や動きは、熟年となっても衰えることはありません。
逆に磨きがかかると言っていいでしょう。
体重移動とは合気道や柔術などの“柔の武術”にとっては必須の動きです。
自分の体重移動だけでなく相手の体重移動(動き)を感じ取りそれを利用するのが柔の武術です。
体重移動とは武術の要中の要なのです。

体重移動を極めれば、攻撃を加えなくても暴漢の暴力から身を守ることができます。
つまり、護身としての究極の姿がそこにあります。

初心者の方はどうしても筋力で技を出してしまいます。
なかには力んでしまい、必要以上の力を拳に入れてしまうことで動きが遅くなったり、威力がなくなったりする方がいます。

決して力まないことです。
「力を抜くから力が生まれる」ということを体現できたら、いっぱしの武術者(武道者)です。

《まとめ》

武術におけるエネルギーの発生源(動力源)とは「体重移動」
もう一つ力を生み出すものが「腰の動き(使い方)」
体重移動や腰から発生させた力を腕や足(脚)に“伝える”。

正しい姿勢ができていないと武術においては正しく体重移動の力は発生せず、また技につながらない。
正しい姿勢を維持する
初心者の方はまずは静止した状態でつくること。
どんなに激しく動いても「姿勢が崩れない」ように鍛錬する。

体重移動とは武術の要中の要。
決して力まないこと。
「力を抜くから力が生まれる」。

技術編12

『体重移動によってエネルギーを生み出せ。拳と蹴り足に体重をのせろ! 腰は低く。重心は前に。身体の軸を保ち、バランスを維持しつつ素早く移動する。筋力に頼らずに力を生み出せ! 体重移動を極めれば技は縦横無尽、変幻自在である!』

押忍!

『技術編13 ~相反する力学を融合することで武術としての真の力が生まれる!~』

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