
勝利の秘訣【試合編】6
『試合で実力を発揮するためには、精神力が必要だ! 緊張や焦り、恐れは結果を気にする気持ちからくるもの。それに支配されたら練習の成果を出せなくなる! いかに心を落ち着かせるかも実力のうちだ! 試合前は体調管理をして最高のコンディションを作り、試合のときはロッキーのように熱く燃えろ! 己の力を信じろ! 練習してきたことをすべて発揮しろ! 精神を集中しろ!』
【解説】
《試合で肝心なことは持てる力を最大限に発揮すること》
試合で肝心なことは、試合の勝敗ではなく、いままでの鍛錬してきた力を最大限に発揮することです。
自らの中に培っていない力は原則発揮することはできません。
ですから、試合に勝つといっても、日頃の練習(鍛錬)がものを言うのは当然です。
しかし、試合は練習と大きく違う点があります。
明らかな勝ち負けという結果が出てしまう、ということです。
人間ならだれしも勝利したいもの。
強さを求める武術者(武道者)にとって負けることは屈辱的なもの。
だからそこにプレッシャーが重くのしかかる。
そうしたマイナスの感情を排除するために必要なものが「精神力」なのです。
「集中力」と言ってもいいでしょう。
自分の持つ最大の力を発揮してなお、負けるのならばさっぱりとあきらめもつきます。
しかし、実力を発揮できずに負けたとなると悔しくてたまらないでしょう。
ですから、勝敗の結果だけではなく、試合においていかに持てる力を最大限に発揮するか、という点が重要なのです。

では、なぜ持てる力を最大限に発揮できないのか?
それは、「緊張」「焦り」「恐れ」というネガティブ思考からくるものなのです。
《2つのコンディション作り》
マイナス思考、ネガティブ思考に支配されると必ずと言っていいほど、持てる力を最大限に発揮できません。
これは現象的に言うと、自分で自分の力を減少させている、ということになります。
では、持てる力を最大限に発揮するためには何が必要なのか?
それは2つのコンディション作りが求められるのです。
1つは、「肉体のコンディション作り」で、2つ目は「精神のコンディション作り」です。
〈肉体のコンディション作り〉
肉体のコンディション作りなどは多くの人がアドバイスをしているので重複するようなことを言っても仕方がないでしょう。
ここで私が示したいのは、試合前の数日(3日~1週間)とそれ以前の区別です。
まず、試合に向けての練習は手抜き厳禁です。
ぶっ倒れるまで練習することです。
限界に挑戦し、身体を酷使することです。
考えた技や戦術(連打のパターンなど)を体に染み込ませるほど繰り返すことです。
日々、辛い練習の苦しさに耐えるからこそ、試合において強い精神力が発揮できるからです。
「強い精神は強靭な肉体に宿る」と信じることです。
そうやって自分を追い込んでキツイ練習を重ねていざ試合が間近となったらば、今度は練習をセーブすることです。
試合前日まで全力の練習をしていると、試合当日に疲労がたまり体に余力がなくなるケースが多いものです。
ですから、試合間近になったなら、いままでの最期のツメの練習をしながら疲労を少し取ることです。
睡眠、食事に気をつけることは言うまでもありません。

〈精神のコンディション作り〉
精神のコンディション作りで重要なことは「恐れ」「緊張」をいかに解きほぐすのか、ということです。
初心者の人に「緊張するな」と言ってもあまり意味はないかもしれません。
緊張しないと思うことが緊張している、という見方もあるからです。
緊張する理由は、まだ対戦していない相手、闘ってもみない相手が強く見えるからです。
片手で倒せる相手だと分かっていたら緊張しないでしょう。
つまり、緊張は勝ちたいとおもいつつ、闘ってもいない相手の影におびえている現象なのです。
だから、「闘う相手を自分とする」ことです。
闘う相手を自分とするということは、勝つための練習に手を抜かない、妥協した練習はしない、ということ。
そして試合では「己の持つ実力を最大限に発揮する」ということだけに集中することです。
己が持てる最大限の力を発揮できれば己に勝利したこととなり、持てる力を最大限に発揮できなければ負けと思うことに集中するのです。
闘うべきは己なのです。
《試合に臨んでは覚悟を決めろ!》
武術初心者にとって初めての試合はたいへん緊張するでしょう。
また、慣れない試合を迎える武術者も緊張で眠れないかもしれません。
しかし、いざ試合当日になってジタバタしても仕方がありません。
覚悟を決めることです。
「自己演出」も勝利のためには必要なのです。
「自分で自分を鼓舞する」、ということの重要性を認識してください。
試合当日は、ただただ勇敢になってください。
自分が映画『ロッキー』の主人公になったように思うのです。
ただただ、己の力を信じるのです。
相手に勝てるかどうかを考えるのではなく、練習してきたことの全てを発揮することに集中するのです。
闘いはまず「己から」です。
相手と闘う前に「己と闘う」ことです。

《まとめ》
試合で肝心なことは、試合の勝敗ではなく、いままでの鍛錬してきた力を最大限に発揮すること。
鍛錬の力を邪魔するマイナスの感情を排除するために必要なものが「精神力」=「集中力」。
持てる力を最大限に発揮するためには「肉体のコンディション作り」と「精神のコンディション作り」が必須。
「肉体のコンディション作り」
手抜き一切なしの自分の限界に挑戦する過酷な練習を積み、試合間近では練習量をセーブして疲労を取る。
「精神のコンディション作り」
「恐れ」「緊張」をいかに解きほぐすのかがポイント。
緊張する理由は、闘ってもいない相手の影におびえているから。
その状態から抜け出すためには「闘う相手を自分とする」こと。
試合では「己の持つ実力を最大限に発揮する」ということだけに集中する。
己が持てる最大限の力を発揮できれば己に勝利したこととなり、持てる力を最大限に発揮できなければ負けと思うことに集中する。
「自己演出」も勝利のためには必要。
「自分で自分を鼓舞する」ことが重要。
己の力を信じ、練習してきたことの全てを発揮することに集中する。
闘いはまず「己から」。
相手と闘う前に「己と闘う」。
試合編6
『試合で実力を発揮するためには、精神力が必要だ! 緊張や焦り、恐れは結果を気にする気持ちからくるもの。それに支配されたら練習の成果を出せなくなる! いかに心を落ち着かせるかも実力のうちだ! 試合前は体調管理をして最高のコンディションを作り、試合のときはロッキーのように熱く燃えろ! 己の力を信じろ! 練習してきたことをすべて発揮しろ! 精神を集中しろ!』
押忍!