
勝利の秘訣【技術編】11
『回転の技は、体の軸がすべて。頭の天辺からお尻まで貫く軸を保て。さすればバランスの力が生まれる。その体に生まれた遠心力を蹴り足に伝達しろ。激しく回る駒はふらつかない!』
【解説】
《回転のコツは軸にあり》
今回は「回転系の技のコツ」がテーマです。
流派によっては直線的な技が主流で、回転系の技があまりない、または得意ではない流派があります。
今回は、「回転系の技」が‟苦手な方”向けの内容です。
回転系と言っても、突きは体を回転させることは稀なので(バックハンドブローなどがある)、主に「蹴りにおける回転技」と考えてください。
回転系の蹴りの代表と言えば「後ろ廻し蹴り」でしょう。
「廻し蹴り」は半回転の技と呼んでもいいかもしれません。
回転系の蹴りには、「後ろ廻し蹴り」「後ろ蹴り」「後ろ回転横蹴り」「飛び後ろ廻し蹴り」「飛び回転横蹴り」などがあります。
初心者の方の中で回転系の技が難しく感じる人もいるでしょう。
その理由は、「体の軸」が取れていないからです。
つまり、重心が安定していない、バランスがとれていないからです。
回転する際にバランスがとれていないと体勢が崩れたり、技の威力が大きくそがれたりしてしまいます。
同時にコントロールを失ってしまいます。
蹴りのコツは蹴る方の足ではなく、軸になっている足が重要なことです。
蹴っている足を支える軸足でバランスを取ることなのです。
軸足から膝、腰、そして上半身と一本の軸が出来てこそ蹴り技が出せるのです。
軸が歪んでいると体を回転することができないのです。
ですから、上手く回転系の技ができないという方がいましたら、体の軸を作る鍛錬をしてください。
軸足を鍛える、片足で立つバランス練習をする、などを行ってください。
覚えておいてください。
「回転の技は、体の軸がすべて」だと。

《回転は腰に始まり腰で終る》
もう一つのコツがあります。
それは体全体で回転しないことです。
また、蹴り脚を振り回すことで回転しないことです。
回転の技は腰で回転します。
回転の技は腰に始まり腰に終わります。
腰から回転のパワーを生み出し、腰を中心にして回転する、ということです。
空手の流派の中には明らかにこれができていない方がいます。
それでも熟練してくると回転できているように見えますが、決定的な違いがでてくるものです。
それは「回転が遅い」ということと「最短距離を通らない(蹴り足が)」ということです。
体全体または蹴り足の力で回転してしまうと、速度が落ちます、同時に蹴り足が最短距離を通らずに遠回りして攻撃するようになってしまいます。
一番の問題は、体で回転するとモーションが大きくなって、簡単に技を見破られて避けられてしまいます。
素早く、しかも最短距離で蹴りを当てるには、腰から回転することです。

《遠心力を蹴り足に伝達する》
もうひとつ、回転系の技で重要な点があります。
体を回転させているのですから、体全体に「力(遠心力)」が発生しています。
体を回転させることと、蹴ることを分けてはいけません。
体を回転させることは、発生した遠心力を蹴り足に伝達することに意味があるのです。
体の回転が一瞬でも止まってから蹴り足を出してはいけません。
体の回転の流れの中で蹴りをだすのです。
体に発生した回転のパワーを感じてください。
腰から発生した回転の力を最終的に蹴り足に乗せるのです。
なぜ、回転する必要があるのか?
回転するという動作は大きなもので相手からみると避けることが容易となります。
それでも回転する理由の一つとして「パワーが増す」からです。
回転の力と蹴る力を合わせることで威力が倍増するからです。
重要なことはただ漠然と回転して蹴るのではなく、ある一点のヒットポイントを絞って狙うことです。
回転系の技でもヒットポイントを狙わねば意味がありません。
回転系の技の多くがいわゆる「大技」なので、モーションが大きくなるので通用しないことが多いものです。
しかし、タイミングよく回転系の技を出せばノックアウトすることができますし、劣勢だった状況を挽回することも出来ます。
王道の攻撃ばかりせず、回転系の技をときおり加えることで相手の防衛の予測を裏切り、「何が来るか分からない」という心理状態に追い込むことで他の技が有効になることも多いものです。
回転系の技自体が決まらないから無意味と考えるのではなく、相手の意表をつく、変化をつける、などの意味を持たせることで闘いの主導権を持つことも可能です。
回転系の技が苦手な方は覚えておいてください。
「体に生まれた遠心力を蹴り足に伝達する」
「激しく回る駒(コマ)はふらつかない!」
と。
軸足から膝、腰、そして上半身と一本の軸を作ること。
「回転の技は、体の軸がすべて」

《まとめ》
回転系の技が上手くできない理由は、「体の軸が取れていない」=「重心が安定していない」「バランスがとれていない」から。
蹴りのコツは「蹴り足」ではなく、「軸足」でバランスを取ること。
回転の技は「腰で回転」すること。
腰から回転のパワーを生み出し、腰を中心にして回転すること。
最短距離で蹴りを当てるには、腰から回転すること。
体を回転させることで発生した遠心力を蹴り足に伝達する。
体の回転の流れの中で蹴りをだす。
腰から発生した回転の力を最終的に蹴り足に乗せる。
「回転の技は、体の軸がすべて」
技術編11
『回転の技は、体の軸がすべて。頭の天辺からお尻まで貫く軸を保て。さすればバランスの力が生まれる。その体に生まれた遠心力を蹴り足に伝達しろ。激しく回る駒はふらつかない!』
押忍!