
勝利の秘訣【技術編】10
『技、動きのコントロールタワーは腰である。腰は技の生みの親! 腰ですべての動きをコントロールしろ!』
【解説】
《初心者が陥りやすい‟動き“とは?》
武術(武道)初級者が陥りやすい動きとは、「腰が使えない」または「腰から技が出ていない」ということです。
別の言い方をすると、「突き」ならば、腕の力だけで突くことです。
「蹴り」ならば、足(脚)の力だけで蹴ることです。
腕の力だけで突く、脚の力だけで蹴る、ということは素人でもある程度できることです。
しかし、武術の基本は「腰にある」と深く理解してください。
武術における技の出発点は「腰」です。
さらにいうと技のコントロールタワーも「腰」です。
つまり、腰から発したパワーが腕や脚に伝わり突きや蹴りとなる、ということです。
しかし、武道や格闘技をやり始めた初心者には、「腰から発する??」と理解出来ません。
腰なんて動くのか? 腰をどうやって動かすのか? と疑問しか湧かないでしょう。
「腰から技が出せるようになる」、これができてはじめて上級者です。
そのことを知ってください。

《腕や脚の力に頼る弊害とは?》
〈筋力が限界となる〉
腰から技が出ない=腕や脚の力で技を出すとどうなるのか?
代表的なことを指摘しておきます。
まず、腰から技が出ていないということは、腕や脚の力だけで技をだそうとしますから、必然的に筋力(腕や脚の)に頼ることになります。
もちろん筋力は必要です。
ですが、そうすると筋力の限界が技の限界を決めてしまいます。
武術が持つ本来の技の威力が出せなくなります。
人間の身体構造が生み出す威力を発揮できなくなります。
筋力に頼る技は、必然的にある結論を導き出します。
それは「スタミナを不必要に消耗する」ということです。
それは武術本来のあり方から外れた姿です。
武術は、最小の動きで最大の効果を発揮する力学で成り立っています。
要するに、腰が使えず、腕や脚の力で技を出しているということは素人に近いということです。
武術者(武道者)としては腰が使えて一人前です。
〈力む=無駄な力が入る〉
腕や脚の力で技をだすということは既に指摘したように筋力に頼りますので当然力んだ状態となります。
筋力に頼る動きは無駄な力みを発生させます。
無駄な力みがあると身体は硬直します。
すると技を出すときに相手からすると「起こり(技を出す瞬間のこと)」がはっきりと見えるようになります。
当然、対策を取られたり避けられたりします。
なぜなら、筋力で技をだそうとすると必ず体に微妙な変化がおこるからです。
上級者はその微妙な身体の動き(起こり)を見逃しません。
要するに、腰が使えない(腕や脚の力で技を出す)と「動く瞬間(起こり)が分ってしまう」、「動きが遅くなる」、ということになります。

《技の源は腰》
「腰を使って技を出す」「腰が技の出発点」、ということを意識せずにいると間違った身体の動きが癖になってしまい修正するのが困難になります。
ですが、空手で言えば空手本来の技をきちんと習得するには腰の使い方が求められます。
ですから、腰が使えないということは空手の技が出せないとはならないはずです。
しかし、問題は組手(試合を含む)などの場合です。
別の表現をすると自分で応用をつけようとするとき、自分なりのオリジナルな動きや攻撃パターンを創作しようとするときにこの問題が発生しがちになります。
突きの動き(力の伝達)=腰→肩→肘→拳、となります。
蹴りの動き(力の伝達)=腰→膝→足先(踵など)、となります。
技の力の源が腰であり、技をコントロールしているのが腰であるのです。
それをまず知識的に理解し、一早く習得することで上級者の仲間入りをしてください。
ただし、腰が使えるためにはある程度の時間が必要でしょう。
その間、技が上手く出せない葛藤に苦しむことになるでしょうが、その葛藤から逃げていると一人前の武術者にはなれませんので、誤魔化さずに忍耐を持って修練してください。

《まとめ》
武術(武道)初級者が陥りやすい動きは「腰が使えない」「腰から技が出ていない」。
武術の基本は「腰にある」。
技の出発点は「腰」。
技のコントロールタワーも「腰」。
筋力(腕や脚の)に頼る技の出し方は、「筋力の限界が技の限界」となる。
筋力に頼る技は、「スタミナを不必要に消耗する」。
本来の武術とは、最小の動きで最大の効果を発揮する力学を持つもの。
筋力に頼る動きは無駄な力みを発生さる。
無駄な力みは身体を硬直させる。
力んだ状態だと、「起こり(技を出す瞬間のこと)」が相手から見えてしまうので攻撃が決まらない。
突きの動き(力の伝達)=腰→肩→肘→拳。
蹴りの動き(力の伝達)=腰→膝→足先(踵など)。
技の力の源が腰であり、技をコントロールしているのが腰である。
技術編10
『技、動きのコントロールタワーは腰である。腰は技の生みの親! 腰ですべての動きをコントロールしろ!』
押忍!