
勝利の秘訣【攻防編】19
『突っ込むだけが攻撃ではない。ときにはバックステップなどで相手を引き込んで(誘い込んで)隙の出来た相手のポイントに技を叩き込め!』
【解説】
《強さへの道は天狗への道と紙一重》
今回のテーマは、攻撃の変化形についてです。
攻撃は前進だけではありません。
誘い込んで叩く。
引きこんで打つ。
横に移動して隙を叩く。
意表をついた動きをして相手を戸惑わせる。
これも立派な攻撃です。
攻撃、攻撃、攻撃と、攻撃オンリーに徹する人は天狗系の性質を持つ方が多いです。
天狗の特徴は、「攻撃あるのみ」、なんです。
「防御」という意識がなく、「攻撃」することによって相手の攻撃を制しようとする。
つまり、天狗の防御法は「攻撃」なのです。
天狗の特徴は「攻撃が最大の防御」「攻撃あるのみ=防御が弱い」です。
しかし、それは力関係で相手の方が上だった場合には通用しなくなる、という大原則に縛られることになるのです。
武術や格闘技の世界には「力」や「強さ」を誇示する天狗が多いものです。
天狗が天狗であるゆえんは、「うぬぼれ」です。
逆な言い方をすると「謙虚さの無さ」「慎重さに欠ける」なのです。
ですから、天狗は前進しながらコケるのです。
天狗の特徴は「粋がる」「うぬぼれが強い」「自己陶酔が強い」などです。
例え武術の才能があっても、上記のような特徴があれば武術者としては黄色信号です。
「謙虚さの無さ」が自分の力量を過信して、隠れた実力者を見抜くことが出来ずに負けることになります。
「慎重さに欠ける」と、最善の策を考えることなく、油断が生まれ、油断が隙を作り、その隙を相手に攻めこまれます。
‟真の強さ”とは「大胆さ」と「慎重さ」をあわせ持つものです。
ですから、前進して力業だけで闘う者はいつか敗れることになるのです。
「突っ込むだけが攻撃ではない」ということです。

《力技だけではなく、兵法を駆使しろ!》
もちろんまったく前進しないのでは闘いになりませんから、闘いの要所要所で前進は必要です。
しかし、相手によっては、わざと後ろに下がって攻撃をかわして打つ。
わざとサイドに移動して隙を突く。
などの攻撃方法が有効なのです。
これは「兵法」を持って闘えということです。
戦国時代の名将で前進攻撃しかしなかった武将はいません。
誘い込んで伏兵で崩した後に撃滅する戦術(真田の戦い方など)。
劣勢になったかのように偽り、陣の中央部分を引いて誘い込み、両翼で包囲して殲滅する戦術(ハンニバルの戦術など)。
戦上手は、「後退」を上手く使用して勝利を掴みます。
武術においても、体格差があって力で押せない時などは、バックステップ、サイドステップを有効に使用して闘うことで勝利を掴むことがあります。
肝心なことは体格差、力関係で劣勢な者は正面からのぶつかり合いだけではなく、兵法を駆使して闘うべきだ、ということです。
他にもフェイント攻撃、大胆な大技を出す、コツコツと相手の弱点を突く、などの闘い方を相手に合わせて使用することが重要なのです。
バカの一つ覚えのように、「はじめ!」の合図で相手に突っ込んで闘うだけが闘いではないのです。

《闘いに変化をもたらすことで「隙」を作れ!》
人より優るパワーや体格を持っている方はきっとこう言うでしょう。
引き込む?
下る(バックステップ)?
何のために?
力天狗(己惚れ者)には理解できないでしょう。
体格に恵まれ、運動神経に恵まれた人は気がつかないでしょうし、身につかないでしょう。
しかし、武術の強さとは「パワー」だけではないのです。
「柔よく剛を制す」闘い方もあり、柔が剛を制することもあるのです。
柔とは、「奇策」「変化」「相手の動きに合わせる」などです。
(この場合の「柔」とは関節技などの柔法ではありません)
パワーで勝てない場合、体格差で対抗できない場合、「柔」の闘い方をすることで勝利を得ることができます。
パワータイプは、自分よりパワーの強い相手が出現することで自然と負けることになります。
勝ち続けるためには常に成長しつづけなければなりません。
常に成長するとは、いままでの自分にない闘い方を身につけるということです。
そのためには「謙虚さ」が必須となります。
脱皮できないヘビは死にます。
将棋の棋士のように、常に新しい戦術や得意技を模索することが常勝将軍への道を開くのです。
バックステップやサイドステップ、またはフェイント攻撃などの変化を用いる目的は、相手の「隙」を作ることにあります。
隙のない相手は倒しづらいものです。
逆に隙のある相手はいかにパワーがあっても対格差があっても打つことができます。
闘いに「変化」を!
勝利し続けるために「成長」を!

《まとめ》
天狗の特徴は「攻撃あるのみ」。
「防御意識」がなく、「攻撃」によって相手の攻撃を制する。
天狗の特徴は「攻撃が最大の防御」「攻撃あるのみ=防御が弱い」。
「謙虚さの無さ」「慎重さに欠ける」があるならば、あなたも天狗。
‟真の強さ”とは「大胆さ」と「慎重さ」をあわせ持つもの。
「突っ込むだけが攻撃ではない」
「兵法」を持って闘え。
戦上手は、「後退」を上手く使用して勝利を掴む。
体格差があって力で押せない時などは、バックステップ、サイドステップを有効に使用して闘う。
武術の強さとは「パワー」だけではない。
「柔よく剛を制す」闘い方もある。
柔とは、「奇策」「変化」「相手の動きに合わせる」など。
勝ち続けるためには常に成長しつづけなければならない。
常に成長するとは、いままでの自分にない闘い方を身につけること。
攻防編19
『突っ込むだけが攻撃ではない。ときにはバックステップなどで相手を引き込んで(誘い込んで)隙の出来た相手のポイントに技を叩き込め!』
押忍!