『攻防編11 ~一撃必殺の妄想を捨て、千変万化する連続技を身につけよ!~』
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勝利の秘訣【攻防編】11

『技と技を連環させて、技を途切れさすな。そのためには常に相手の動き、間合い、反応などに応じて技を変化させろ! 流れるように動き技を繰り出せ!』

【解説】

《空手の一撃必殺という概念は現代において崩れている》

誤解される恐れがありますが、よく以下の文面を理解して読んでください。

空手では、よく「一撃必殺」と言います。
一撃必殺とは、極真会館のような直接打撃ルールでも、寸止めルールの伝統空手でも言うことです。
一撃必殺をかかげる空手の流派は非常に多いのが実状でしょう。

ですが、それは現代の武道の試合において必ずしも有効な価値観ではないのです。
現代における試合においては、一撃必殺という考えは“ほぼない”と思った方がいいでしょう。

空手は本来防御からの反撃を主体とした武術です。
ですから相手が攻撃してくるその技を防御(受ける、流す、捌くなど)しながら反撃するわけですが、そのとき相手はこちらに向かって攻撃している状態なのです。

それは以下のことを示すのです。

「突撃してくる相手の前進力がこちらの破壊力に転嫁される」
「攻撃している最中なので防御姿勢を取れずにまともに反撃技をくらってしまう」

これによって一撃必殺となるのです。
もちろん空手の突きや蹴りなどの技自体に破壊力があることはいうまでもありません。

それと「一撃必殺」の最重要な意味は、「急所を狙う」ことです。

人間の肉体には鍛えられない部分があり、また、急所と呼ばれる部分があります。
武道としてではなく、武術としての空手や拳法の技は急所を狙うものです。
急所に鍛え上げた技を繰り出すからこそ、一撃必殺となるのです。

現代の武術や格闘技の試合において、「急所」への攻撃はほぼ禁止されています。
ですから、スポーツ化した現代の武道では、一撃必殺ということにそれほどこだわる必要はないのです。
ただし、武術の鍛錬としてはしっかり身につける(練習する)ことが必要です。

あくまでも「試合の中で勝つ」、「ルールのある対決で勝つ」ということで考える武術及び格闘技では、一撃必殺にこだわらない方がいいのです。
このこだわりについては「防具なしの直接打撃ルール」「防具付きルール」「寸止めルール」で随分違ってきますので、各自が自分の所属する団体のルールを前提にして考えてください。

なにが言いたいのかというと、たとえKOルールにおいて一発で相手をダウンさせたとしても、本当はその一発をあてるために連続した技の連携、捨て技、フェイント、崩し技などがあるのです。
その一発を成り立たせるための技や動きがあってこその一発だということです。
これを間違えると、基本練習ではすごいのに試合には勝てないという現象が起きてきます。
そういった意味で一撃必殺にこだわらない方が良いと言っているのです。

《技の連携が一撃必殺の結末を導く》

では、一発をあてる、先にポイントを取るためには何が必要なのか?
結局、「単発の技は通用しない」ということです。
あるいは、「技を一発だしただけでは決まらない」ということです。

試合において相手は当然ながら素人ではありません。
相手も戦闘術を日々鍛錬しているのですから、こちらが得意の技を一発だしからと言って、おめおめとくらってはくれません。
避けるなり、カウンター攻撃をしてきたりするからです。

では、どうすればいいのか?
武術初心者と武術上級者の違いは、一発しか出せずにその一発にこだわるか、一発を有効にするためのさまざまな技や動きによって相手を倒す一撃にするか、の違いです。

つまり、現代の試合において単発の攻撃ではほぼ有効打は取れないのです。
(団体のルールによって違いがある)
ですから、「技と技を連環させる」ことが重要なのです。
要するに「連続攻撃」が出来るように修練することが試合に勝利するためには必須なのです。

武術初心者の人が、ある程度基本練習が出来たならば、次のステップは技と技の連携を考えるということです。
その段階にステップアップせずに基本練習の段階のままで試合に臨んでもなかなか勝利できないとなるのです。

《連続する技を繰り出すために必要なこと》

中級者から上級者の話をします。

連続技、技と技の連環については1回では語り尽くせないので、さまざまなところで語ります。
ここでは2点語ります。

それはやみくもに技を連続的に繰り出せばいいというものはない、ということです。
ひとりでコンビネーション技を練習するときは、想定ですから決まった自分のパターンの連続技(コンビネーション)を行うと思いますが、試合ではそれが通用する場合と通用しない場合があります。
むしろ通用しない方が多いと思ったほうがいいでしょう。

あくまでも試合に勝つためにはコンビネーションはガチガチのパターンとして身につけてはいけないのです。
その先があるのです。

重要な視点は、「相手の動きに合わせて変化させる」ということです。
相手の動きに応じて連続攻撃を変化させるためには、「相手の動きをしっかりと捉える」ことが必須です。

どこに隙があるのか?
どんな防御をしたのか?
どん反撃をしたのか?
これらを試合中に瞬時に頭に入れることです。

相手の反応などを瞬時に捉えて、その相手の反応や体勢に合わせてこちらの連続する技を変化させることです。

独りよがりのコンビネーションではなく、相手の動きに無対応の技の繰り出しではなく、相手との距離(間合い)、相手の隙、相手の反応に合わせた技を繰り出すために相手の一挙手一投足に全集中して捉えることです。

つまり、攻撃することに酔うな。
自分の攻撃技に酔うな。
ということです。

どんなに優れたコンビネーションでも、酔った攻撃はいつか敗れるか、対策が取られるのです。
ですが、千変万化する連続技は対応できないものなのです。
流れる水のように常に攻撃の形を変化させることが上級者への道だと思ってください。
そのための基礎練習だと思ってください。
基礎技の習得➡応用技の習得➡千変万化する攻撃技の習得、とステップアップすることが大切なのです。

《まとめ》

一撃必殺の意味。
「突撃してくる相手の前進力がこちらの破壊力に転嫁されるから一撃必殺となる」
「攻撃している最中なので防御姿勢を取れずにまともに反撃技をくらってしまうから一撃必殺となる」
「急所に鍛え上げた技を繰り出すからこそ、一撃必殺となる」

現代の武術や格闘技の試合において、「急所」への攻撃はほぼ禁止されている。
だから、スポーツ化した現代の試合では「一撃必殺」ということにこだわる必要はない。
(ただし、それでも禁止されていない急所を狙うのが王道であるのは変わらない)

現代の武術の試合においては、「有効打を成り立たせるための技や動き」が必須
単発の攻撃ではほぼ有効打は取れない。
試合に勝つためには「技と技を連環させる=連続技」を出せることが必要。
試合に勝つためには「相手の動きに合わせて技を変化させる」こと。
相手の動きに応じて連続攻撃を変化させるためには、「相手の動きをしっかりと捉える」こと。
流れる水のように常に攻撃の形を変化させることが上級者への道。
基礎の技の習得➡応用技の習得➡千変万化する攻撃技の習得、とステップアップすること。

攻防編11

『技と技を連環させて、技を途切れさすな。そのためには常に相手の動き、間合い、反応などに応じて技を変化させろ! 流れるように動き技を繰り出せ!』

押忍!

『攻防編12 ~防御の得意な者は敗れることはない!~』

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