『心得11 ~気迫は「覚悟する者」にだけ与えられる精神力!~』
Pocket

心得11

『技に劣るとも、経験に劣るとも、気迫において勝れ! 気迫を出せ! 気迫を込めろ! 捨て身でいけ! 気迫、気迫、気迫だ!』

【解説】

今回の心得は、どちらかというと真面目な性格の人向けのものです。
強い負けず嫌いの人にはあまり当てはまらないと思います。

《気迫とは何か?》

武術初心者にとっては、先輩や上級者から「気迫を出せ!」と言われても上手く出せないと悩む人もいるでしょう。
また、自分よりも強い人を相手にすると「気迫が緩む」となってしまう経験をした方も多いでしょう。

気迫とは?
辞書では「力強く立ち向ってゆく精神」となっています。
つまり、気迫とは、体力でもなく、技術力でもなく、経験力でもなく、精神力だということです。
武道家(武術者)にとっては、第一に求められるべきは「精神力」なのです。

ですが、人間はどうしても肉体的自分という認識にとらわれてしまい、肉体的能力で優劣を比較してしまいます。
そこに大きな差があると感じると、とたんに気迫が薄れる人が多いものです。

気迫がだせるための前提は、「人間の本質が肉体ではなく、心にあると思う」ことです。
気迫とは精神が生み出す力であって、決して筋力や経験によって生み出されるものではないのです。

もちろん鍛えられた肉体は強い精神力と密接に結びついています。
肉体を鍛えることは、精神力の強化につながります。
ですが、肉体的能力を求めるよりも、「精神的な力を先に求めることが重要」ということです。
肉体的能力よりも、「精神力が先にあるべき」ということです。

《どうしたら気迫がでるか?》

では、どうしたら気迫がでるでしょうか?
気迫ややる気が出ないで悩んでいる人は意外に多いものです。

その答えは「覚悟を決める」ことです。

気迫が出ない人には、必ず消極的思考、肉体重視の価値観、結果論に縛られています。
気迫が出ない人には、「どうせ~」とか、「でも~」などの消極的思考が先にあります。
気迫が出ない人には、肉体能力の比較による精神力の軽視があります。
気迫が出ない人には、努力する過程=プロセスを軽視し、結果を先に見て不幸の預言のように先に悪い結論を導きだしてしまうことがあります。

要するに、気迫が出ない人には覚悟が出来ていないのです。
覚悟さえできれば気迫は出てきます。
たとえ相手が自分よりも上手(実力者)であっても。

結果を先にみて、「どうせ勝てないから」と思うから、気迫がでないのです。
そこにある心の作用とは「不必要な自己保存欲求」「過剰な自己防衛」なのです。

武術(武道)の世界において、自分を守ろうとする心の作用が悪く働くと、気迫が出ないという現象になるのです。
そうした自己保存の心をいかに脱却するのかが、武道家(武術者)としての成長(課題)なのです。
武道家であれば、どうしても乗り越えなければならない境地なのです。
これはある意味での魔境です。
覚悟ができないことは必ず「怯え」となるからです。

怯えを抱いたものは必ず負けるのです。

たとえ身体能力が相手よりも上であったとしても、怯えたものは本来持っている能力を半減してしまうので、勝てる相手にも負けてしまいます。
「覚悟できない」は=怯えを生み出す、ということです。

《覚悟を生み出すためには?》

では、どうすれば覚悟できるのか?
人間の精神の働きにはマイナスの精神作用とプラスの精神作用があります。
しかし、マイナスの精神とプラスの精神を同時に心で思うこと(作用させること)はできません。
それが人間の心の作用なのです。

ですから、マイナスの精神を生み出している発想、思考、悩みなどを「捨てる」ことです。
自らの意思で捨てるのです。
捨てると自分で決めるのです。
そうしたことは自分以外の誰もしてくれません。
あなたが自分自身でしなければ、誰もどうにもできません。

マイナスの思考(精神)を思い切って捨てることです。
捨てると自分で自分に言い聞かせるのです。
捨てることによってプラスの精神へと心の磁石が変化するのです。
捨てることがプラスを生み出す、ということを肝に銘じてください。

今回の『心得』は呪文です。
暗記して呪文のように自分に言い聞かせてください。
自分で自分を説得する、自分で自分を鼓舞するのです。

《まとめ》

気迫とは、「力強く立ち向ってゆく精神」
気迫とは精神が生み出す力。
武道家(武術者)にまず求められるべきは「精神力」。
気迫を出すための前提は、「人間の本質が肉体ではなく、心にあると思う」こと。
肉体的能力よりも「精神力が先にあるべき」。

気迫をだすには「覚悟を決める」。
気迫を出せない理由(覚悟できない心)は、「不必要な自己保存欲求」「過剰な自己防衛」という心の作用。
武道家として乗り越えなければならない境地が「怯え(魔境)」
怯えを抱いたものは必ず負ける。

覚悟を決めるには、マイナスの精神を生み出している発想、思考、悩みなどを「捨てる」こと。
捨てることによってプラスの精神へと心の磁石が変化する。
自分で自分を説得する、自分で自分を鼓舞する。

『心得11』

『技に劣るとも、経験に劣るとも、気迫において勝れ! 気迫を出せ! 気迫を込めろ! 捨て身でいけ! 気迫、気迫、気迫だ!』

押忍!

『心得12 ~「武の心」の顕現とは?~』

おすすめの記事