『技術編3 ~連続攻撃によって相手の隙を作り出せ!~』
Pocket

勝利の秘訣【技術編】3

『一打目、二打目を外されても連続的に攻撃し続けろ!連続攻撃によって必ず相手に隙が生まれチャンスがやってくる』

【解説】

《連続攻撃の重要性》

まず、この『武術初心者のための心得と勝利の秘訣』というブログは、空手などの立ち技系武術(武道)の初心者のための“指南書”ですが、想定している武術は広く、ルールにも違いがあります。

現代の武術者は、殺し合いをするために武術を習っているわけではないでしょう。
ひとつの目標は、やはり「試合に勝つ」ということだと思います。
しかし、流派や武術の種類の違いによってルールはさまざまです。
ルールを大きく分けると、「KOルール」と「ポイント制ルール」に分けられます。
(KOルールでも、決着がつかなかった場合、ポイントで判定される)

はじめにこの2つのルールでは、闘い方が違ってくる、ということをこのブログの読者は再度よく認識してください。
一般的に言うと、KOルールは連打攻撃が主流で、ポイント制ルールは単発攻撃が多くなる、という傾向があります。(あくまでも傾向ということ

でも、ルールに違いはあれども「攻撃」ということは同じです。
武道初心者(武術初心者)の方が初めて試合に出たときの感想は、「練習とは違った」「思ったように出来なかった」という方が多いのではないでしょうか?

その理由を具体的に今回一つ取り上げます。
それは「技が単発になりがち」だから、ということです。

練習では、ワン・ツー・スリーと連続攻撃の練習などを行っても、試合になるとどうしても単発の攻撃になりがちです。
それは、こちらが攻撃するとカウンターなどの相手からの反撃を受ける可能性があるので、“それを恐れる”からです。
別の言い方をすると“慎重になる”のです。
慎重になると、どうしても技が単発になりがちです。

もう一つ逆に、一発決めてやろうと“力みすぎて”技が空回りして、一発目の技に“気が生き過ぎている”からです。
力んだ技は大抵相手に通用しません。
力んだ単発技を繰り返し出しても、相手を倒すこともポイントを取ることもできません。

また、練習と試合の一番の違いは相手が自分の思う通りに動かない、という当たり前のことがあります。
ですから、練習と試合の違いを如実に知ることが、武術初心者にとっては大きな飛躍の一歩です。

どんなに得意な突きでも、自慢の蹴りでも、試合中、単発で出した技は大抵当たりません。
(ライトコンタクト制ルールの空手は少し違います)
それは当たり前なのです、対戦している相手も格闘術を学んでいる者であり、勝負に勝ちたい、負けたくないと思っているのですから必死に防御し、攻撃してくるからです。

基本的に相手が“構えている状態”のときは隙(すき)がありません。
しかし、“隙”が生まれる瞬間があります。
それは“動いたとき”です。
動いたときとは、相手が攻撃に転じてきたときであり、こちらの攻撃を防御するときです。
「防御するとき」と言うのは、上段の攻撃を防御しようとすると中段、または下段への意識がおろそかになり、中段への防御を意識すると、今度は上段への意識が薄れる、ということです。

ですから、攻撃は単発で終ってはいけないのです。
つまり、一打目を外されても、二打目を出す。
二打目を外されても三打目を出す。
三打目を外されても四打目を出す。
と連続的に攻撃することで必ず相手のどこかに隙が生まれます。
その隙をついて、的確な技を決めるのです。

要するに、隙をつくるために連続攻撃をするのです。
逆に言うと、連続して攻撃しなければ、隙はなかなか生まれないのです。

ただし、連続攻撃するためには技術面と精神面の2つの課題があります。

《連続攻撃の難しさ》

〈技術面の難しさ〉

連続攻撃を仕掛ける技術面の難しさは、「連続攻撃が流れるような動き」「切れ間のない動き」が必要だからです。
技と技の間隔があいている攻撃は反撃にあいます。
また、同じ技ばかりの攻撃、同じ個所ばかり狙った攻撃も反撃にあってしまいます。

ですから、切れ目なく、リズムよく、無駄なく、相手が息つく暇もなく、激流の流れのような動きでなければいけません。
それを試合中に、相手の対応を見ながら行うことは難しいことです。
相手の予想外の動きに警戒してしまい、連続攻撃しようとしたものが、単発で終ってしまうことも多いのです。

〈精神面の難しさ〉

連続攻撃をするためには精神面も重要です。
武術を志す人たちでも性格は様々です。
強気な性格の人、普段はおとなしい人など。
それでも試合(闘い)となれば、闘志を燃やさねばなりません。

つまり、「相手を倒そうという闘志」または「試合に勝ちたいというハングリー精神」が必要になります。
弱い気持ちでは、危険が伴う連続攻撃はできません
自分から攻撃を仕掛けても、どこかで引いてしまいます。

「成功とは手を伸ばした1センチ先にある」という諺があります。
これを武術の世界に当てはめれば、「もう一手(一打)出せば相手に当たった」「もう一手(一打)出せば勝てた」と言えます。
つまり、あと一打、あと一手出せば相手に届いた、相手に当たったのに、その前で自分から攻撃をやめてしまう。
だから、勝利できない。
ということになります。

連続的に相手に攻め続けるためには「強い気持ち」が必要です。
別の言葉でいえば「度胸」です。

《試合で連続攻撃が出来るようにするために必要なことは?》

結論から先に言います。
試合で連続攻撃が出来るようになるために必要なことは、すべて練習の中にあります。
重要なことは、「パターン」「臨機対応の想定」です。

〈得意な連続技パターンを数種類つくる〉

まず、自分の特徴や長所などを活かした連続技のパターンを複数作ることが必要です。

例えば、左の順突きから入って、右の逆突き、右回し蹴り、左回し蹴り、という4連打など。
最低でも3連打、出来れば4連打、5連打の得意な連続攻撃技をしっかりと練習することです。
基本技を身につけても、単発の技練習ばかりしていては、いつまでたっても試合に勝てません。
要するに自分の得意な連続攻撃パターンを数種類、練習の中で磨きに磨くことです。

どれくらい練習すればいいのか、というと「その技が試合で通用するためには身体に染みついたものしかでない」と覚えておいてください。
そのためには繰り返し、繰り返し練習することです。
飽きるほど練習し、飽きてもなお練習することです。
条件反射のように連続技がでるには少なくとも数万回の練習は必要だと思ってください。

〈練習の時から試合していることを想定して練習する〉

得意な連続技のパターンを複数持てばいいのか。
それをひたすら練習すればいいのか?
というと、少し違います。

それは連続技がある程度なめらかに出すことができるようになったら、必要なことがあります。
それは「自分がその連続技を出した場合に相手がどう動くのか」という想定を練習の中で行うということです。
この相手の動きを想像する、という練習をしている人と、していない人ではいずれ大きな差となっていきます。
(特定のライバルがいれば、そのライバルを想定してもいい)

自分がこう出たら、たぶん相手はこうくるだろう、だから自分はこう攻める。
こうきたら別の手を出す。
と考えながら、試行錯誤して、連続技を改良または進化させることが重要です。
さらに、連続技が途中から変化する“変化バージョン”まで持てるようになれば、もう初心者ではありません。
そこまでいくと上級者のレベルと言っていいでしょう。

変化バージョンがいくつも出せるということは、技の組み合わせ(技の構成)が理に適っていることであり、相手を想定していることです。
変化バージョンの先に変幻自在の技の境地があります。

武術初心者の方が心に刻まなければならないことは、「練習で身体に染み込んだものしか試合ではでない(技が)」ということです。
試合に勝利するすべては「練習の中」にあります

相手を想定して、連続技の練習を繰り返し修練し、意識しなくても身体が勝手に動く状態に仕上げることが大切です。

《まとめ》

相手の反撃を恐れ、慎重になり過ぎると、技が力んで単発攻撃になってしまう。

攻撃は相手の隙をつけ。
“隙”が生まれる瞬間とは、「相手が動いたとき」。
相手が攻撃に転じてきたとき、こちらの攻撃を防御するときに隙が生まれる。
隙をつくるためにこそ連続攻撃をする。
連続攻撃こそ勝利をつかむために必須のもの。

よって、切れ目なく、リズムよく、無駄なく、相手が息つく暇もなく、激流の流れのような連続攻撃を練習で身につけること。
自分の特徴や長所などを活かした連続技のパターンを複数作り、試合では「度胸」を決めて攻めこめ。
「相手がどう動くのか」ということを常に練習の中で想定せよ。
試行錯誤して、連続技を改良または進化させる。
練習の目標は、連続技が途中から変化する“変化バージョン”まで持つこと。

「練習で身体に染み込んだものしか試合ではでない(技が)」
試合に勝利するすべては「練習の中」にあり

技術編3

『一打目、二打目を外されても連続的に攻撃し続けろ!連続攻撃によって必ず相手に隙が生まれチャンスがやってくる』

押忍!

『技術編4 ~自然体から技を繰り出す!~』

おすすめの記事