『技術編4 ~自然体から技を繰り出す!~』
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勝利の秘訣【技術編】4

『武術で大事なのは自然体。体から無駄な力を抜き、脱力から一気に力を入れて技を繰り出せ! そのためには、まず気持ちをほぐせ』

【解説】

《武術の基本と力学が「自然体」》

武術の基本中の基本はなにか?
さまざまな答えがあるでしょう。
ほぼすべての武術で共通している大切な技術が「無駄な力を抜く」ということです。

「無駄な力を抜く」ことがなぜ大切かというと、無駄な力みは反応を遅くし、同時に力がMAXにならないからです。
力んだ身体動作からは、最大の力がでないからです。

武術は攻撃と防御を同時に行わなければなりません。
相手を倒すためには、相手より速く攻撃しなければなりません。
その理想は、相手が反応できない速さです。

しかし、力んでいると攻撃に入る瞬間の反応が遅くなり、その一瞬の間を(攻撃の)相手に読み取られ、カウンター攻撃をくらいます。

また、相手の攻撃から身を守るためには、相手の攻撃より速く反応することが重要です。
身体に無駄な力が入っていると動きは遅くなるものです。

武術とは、人間の肉体への科学的、合理的な動きを背景に持った芸術でもあるのです。
武術は「どうすれば早く動けるか」「どういう姿勢(態勢)が崩れないのか」という人体力学を土台としているのです。
武術の基本姿勢であり、素早く反応するための態勢が「自然体」なのです。

《自然体とは?》

「自然体」とは?

自然体は身体の力みを抜き、素早く反応するための姿勢です。

かかとを浮かし、腰を落とす。
膝を軽く曲げ、背筋は真っ直ぐ。
頭のてっぺんから肛門まで1本の軸が体を貫いているように姿勢を整える。
肩や拳から無駄な力を抜く。

全身に力が入っていないようで、入っている状態。
つまり、いつでも急発進できるアイドリング状態が自然体です。

〈力みのチェックポイント〉

無駄な力が入っているかどうかをチェックするポイントは?

肩、手(拳)、足先

特に無駄な力が入る人は、必ずといっていいほど肩に力が入っています。

《自然体は身体と心の柔軟性》

ムエタイの蹴りは空手でいう「回し蹴り」ですが、ムエタイの回し蹴りと空手の回し蹴りは似ていますが、全然、別物です。
ムエタイの回し蹴りは、腰から足先までを脱力した状態で“脚全体をムチ”のようにしならせて蹴る技です。
(キックボクシングも同じ)
一方、空手の回し蹴りは腰から発した力を、膝を起点としてスナップを利かせて蹴る技です。

ムエタイのような回し蹴りをするために必要なものが「無駄な力みを抜く」ことです。

ボクシングのジャブにおいても力みがあったら意味をなしません。
ジャブは「素早く」「連打」が重要だからです。

素早く、連続して動くということが分からない人がいましたら、ボクシングのジャブの動きを想像してください。

闘いにおいて「素早く動く」ことと「連続して攻撃できる」ことは重要なことなのです。
素早く動いても態勢が崩れてしまっては、連続して攻撃するどころか、相手から反撃をくらいます。

態勢が崩れて自滅することこそ武術者が一番やってはいけないことです。
態勢が崩れない姿勢こそ「自然体」です。
かかとを浮かし、腰を落とし、体の軸を中心におき、無駄な力を抜いて構える。
「自然体」は攻撃にも防御にも瞬時に対応できる態勢であると同時に素早く動くために必須の技術なのです。

《無駄な力が入る理由》

最後に、無駄な力が入る理由を述べます。
自然体の態勢が取れず、無駄な力が入る人(タイプ)は大別すると2つです。

一つは「緊張し過ぎるタイプの人」
もう一つは、「身体が物理的に硬いタイプの人」

身体の硬さは心の硬さでもあります。
身体の硬さは柔軟、ストレッチなどを毎日行うことです。
関節や筋肉が柔軟になってくると、自然と精神も柔らかくなります。
あとは「緊張しないための対策」です。

大切なことは、心を柔軟にすることです。
リラックスすることです。

勝敗を強く意識し過ぎると、心は硬くなり、それが身体の硬さにつながります。
身体が硬直してしまうと、それが無意識(無自覚)な不安感や警戒感を生み出し、それが回り回って心と身体の硬さを増長してしまいます。

ブルースリーのようにリラックスして構えることです。

《まとめ》

武術で共通している大切な技術が「無駄な力を抜く」こと。
無駄な力みは反応を遅くし、同時に力がMAXにならない。

武術の基本姿勢であり、素早く反応するための態勢は「自然体」。
全身に力が入っていないようで入っている状態、いつでも急発進できるアイドリング状態が自然体。

無駄な力が入っているかどうかをチェックするポイントは、「肩」「手(拳)」「足先」。

闘いにおいて「素早く動く」ことと「連続して攻撃できる」ことは重要なこと。
そのためには「無駄な力を抜く」ことが重要で、無駄な力を抜くためには「態勢を自然体にする」ことが必須。

かかとを浮かし、腰を落とし、体の軸を中心におき、無駄な力を抜いて構える。
どんなに動いても“常に自然体を維持する”こと。

技術編4

『武術で大事なのは自然体。体から無駄な力を抜き、脱力から一気に力を入れて技を繰り出せ! そのためには、まず気持ちをほぐせ』

押忍!

『技術編5 ~柔軟は「強さ」「上手さ」そして「華麗さ」を生み出す母体!~』

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