
勝利の秘訣【対策編】4
『スピードのある相手、素早く攻撃してくる相手には、少し間合いを遠くして戦え。さらに、横移動で相手の調子を崩せ。間合いを詰めて攻撃してくるその瞬間に呼吸を合わせてカウンターを決めろ!』

【解説】
《スピードのある選手との対戦を考える》
今回はスピードのある選手対策です。
以前、【技術編】にて「攻撃はスピードこそ命」と論じましたが、自分よりスピード力がある相手との対戦における対処法が今回のテーマです。
基本的に、スピード力がある選手は“強い”、と言っていいでしょう。
その理由は、受ける方が「対応が遅れる」、すなわち「先にあてられてしまう」からです。
試合が始まって、自分よりもスピード力があるとたいていの人は焦ったり、戸惑ったりしてしまいます。
武術の強さを生み出す要素は、「パワー」「技術力」「距離感(間合いの駆け引き)」「読みの深さ」「タイミング」「スピード」などですが、この中でも「スピード」という要素は群を抜いて力を発揮します。
ですから、自分よりもスピードがある選手とは苦戦することが多いものです。
重要なことは、相手が自分よりもスピードで優っていると思ったら、スピード競争はしないことです。
相手の土俵で勝負しても勝てません。
(スピード力が互角なら別)
スピード力があるということが意味することは、「先手を打てる」=「先に攻撃を加えられる」ということです。
ですからスピード力で優る、スピード力で劣るということは、勝敗に大きな影響を与えるといことなので、武術(格闘技)を習得する者は惰性で練習をするのではなく、日々、0.1秒でも早く動けるように鍛錬することです。
何事もそうですが、スピード力は意識して鍛錬しなければ絶対にアップしません。
意識して鍛錬しない場合、その人の本来の身体能力に由来するスピード力しか発揮できません。
特に身体の小さい選手はパワーよりもスピード力を磨くことが重要です。
体重の軽い選手はパワーよりもスピード力を身につけることが必要です。
(パワーを否定しているのではなく、より必要なのがどちらか、という意味)
《スピード力がある選手との対処法》
〈パワーで制す〉
身体(からだ)が大きい選手の場合、スピードはあまりなく、パワーのほうに自信がある、というケースが多いでしょう。
ですが、実際の試合は体重別で行われますから、体重差にあまり開きがないでしょう。
それでもパワーとスピードに選手ごとに違いがあるので、その違いをよく掴むことが大切です。
パワー自慢の方がスピードのある選手と対戦する場合、パワーによって「圧」をかける作戦が一番効力を発揮します。
この作戦は、直接打撃制ルール(ノックアウト制)の場合は非常に有効です。
また、ポイント制ルールであっても、パワーのある選手が前に前にでてくるとスピードのある選手もやりづらさを感じて、持ち味のスピード力が殺されることになります。
パワーのある選手は、パワーで「圧(プレッシャー)」をかけてスピードを殺す作戦が有効です。
〈間合いを遠くして対処する〉
スピードも相手より劣る、でもパワーも相手を圧するほどの力もない。
この場合は、「間合い」を制御する作戦を取るべきです。
武術者(選手)にはそれぞれ自分の「間合い」があります。
普段の間合いより少し距離を取るのです。
なぜなら、普段の間合い(距離)では相手の攻撃してくるスピードに対応が間に合わなくなるからです。
ですから、いつもよりも少し遠い間合いで対戦することです。
パワーでもスピードでも相手が有利なら「間合いを制する作戦」を取ることです。
この「間合い」には、縦の間合いと横の間合いがあります。
縦にまっすぐ下がる(バックステップ)だけではなく、横に移動して相手の攻撃ポイントからズラすというのも広い意味での間合いを制することになります。
ですから、縦に距離を取るだけではなく、横移動などを組み合わせて相手との位置と距離をコントロールすることによって相手のスピード力のある攻撃を半減させることです。
〈対スピード選手への王道〉
距離を取ったらこちらも攻撃距離が延びて不利になるじゃないか?
そう思う方も多いでしょう。
重要なことは、攻撃には必ず射程距離があることです。
間合い(距離)を遠くし、なおかつバックステップやサイドステップなどによって距離を広げることで、スピードのある攻撃の射程距離がズレます。
射程距離がズレるということが意味することは、攻撃力(勢いなど)が少しだけ落ちることを意味します。
自分よりもスピード力のある選手と対戦する王道の対処法は「カウンター」です。
距離を少し遠くし、誘いをかけ、相手が攻撃してきたときにカウンターで対処することです。
これが打撃制ルールだと、通常の攻撃よりも打撃をより与えられます。
なぜなら、相手が素早く突っ込んでくるその物理的力が加算されてしまうからです。
自分(相手のこと)の持つ素早い攻撃力が逆に相手から受けるダメージに加算されてしまうのです。
つまり、間合いをコントロールして相手の射程距離を伸ばし、カウンターで反撃する。
このスタイルがパワーもスピードも劣る選手の対処法です。
ただし、スピードのある選手がカウンタータイプだった場合、別の手を考えなければなりません。
カウンター選手にもスピードのある選手は多くいます。
ですが、基本的にスピードのある選手は攻撃を好み、積極的に自分から攻撃を仕掛けてくるケースが多いものです。
ノックアウト制とポイント制では違いがありますので、それぞれの所属する団体のルールに当てはめて考えてください。
《タイミングをつかめ》
自分よりもスピードのある選手と戦うことはやりづらいものです。
注意すべき(意識)ことは、タイミングとリズムをつかむことです。
カウンター攻撃の成功を決定づけるのが「タイミング」です。
タイミングがつかめなければカウンターは決まりません。
ですから、間合いをコントロールしながらタイミングをつかむことです。
相手が攻撃してくるタイミングに意識を全集中することです。
間合いをコントロールして主導権を握りタイミングをつかめればスピードのある相手(選手)でも勝利の道は開けます。
《まとめ》
基本的に「スピード力がある選手は“強い”」。
その理由は、受ける方が「対応が遅れる」すなわち「先にあてられてしまう」から。
相手が自分よりもスピードで優っていると思ったら、スピード競争はしない。
『スピード力がある選手との対処法』
パワーで制す
間合いを遠くして対処する
カウンターで反撃する
パワーで優っていれば、パワーによって「圧」をかける作戦を取る。
(パワーで前に前に押していくことでスピード力のある攻撃を封印することができる)
スピードもパワーも相手より劣るなら「間合い」を制御する作戦を取る。
「間合い」には、縦の間合いと横の間合いがある。
縦の間合いだけではなく、横移動などを組み合わせて相手との位置と距離をコントロールし、スピード力のある攻撃を半減させる。
攻撃には必ず射程距離がある。
間合い(距離)を遠くすることで射程距離をズラす。
スピード力のある選手と対戦する王道の対処法は「カウンター」。
間合いをコントロールして相手の射程距離を伸ばし、カウンターで反撃する。
注意すべき(意識)ことは、タイミングとリズムをつかむこと。
カウンター攻撃の成功を決定づけるのが「タイミング」。
相手が攻撃してくるタイミングに意識を全集中する。

対策編4
『スピードのある相手、素早く攻撃してくる相手には、少し間合いを遠くして戦え。さらに、横移動で相手の調子を崩せ。間合いを詰めて攻撃してくるその瞬間に呼吸を合わせてカウンターを決めろ!』
押忍!