『心得7 ~武道とは他人との闘いにあらず! 武道者が求めるべき真の強さとは?~』
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心得7

『武道とは、他人との闘いにあらず。己との闘いなり。己の弱さに勝てずして、他人に勝つこと叶わず! まず己と闘え! 己の弱さに打ち勝て! 己の弱さに打ち勝ったとき、そこに道は拓ける!』

【解説】

《武道者の勘違い》

今回使用する「武道者」という意味は〇〇道と名がつくものをイメージしています。
ご注意ください。

武術、格闘技を習う人の中には“勘違い”をしている人がいます。
何を勘違いしているかというと、「試合に勝つことが強さの証明」という勘違いです。

確かに優勝すれば試合の勝利者ではあります。
ですが、それは良くも悪くも試合の勝利者という意味以外ではありません。
試合に勝つことが武道者として勝利者となるわけではないのです。

つまり、「試合に勝つ」=「武道者としての勝利」ではないのです。

多くの方は、ルールが決められた枠の中で行われる試合で他人に勝つことが「強い人間」であると勘違いしています。
確かに試合には強いでしょう。
闘えば強いでしょう。

そうした勘違いをしている方は、「試合で他人に勝ち優勝した俺は強い人間なんだ」と思いこんでいる節があります。
しかし、それは試合という人間世界の小さな枠の中の強さでしかありません。

そこには武道者としての重要な視点が抜け落ちています。
もし、そうした考えに浸っている方がいましたら、今回を機に改めることをおススメします。

《真なる武道者の道とは?》

武道とは、表面上他人の攻撃から身を守る術でありますが、「道」とあるように「精神の修練」「心の修行」という意味を外しては「武道=武の道」とは呼べません
単に強ければいいのであれば、プロの格闘技でいいのです。
しかし、「武道」と「道」がその名についているのであれば、そこに“あるもの”が存在していなければならないのです。

その“あるもの”とは、「己に勝つ」ということです。
人生において最大の敵はいつも自分です。

「己に勝つ」とは、「己の未熟さ」を認識するところから始まり、「己の弱さを克服する」「己の精神向上を邪魔するものと闘い勝利する」ということです。

人間には、さまざまな「迷い」「誘惑」「怠惰」があります。
それらに打ち勝つ強い精神力を身につけることが武道の奥にある真なる目的なのです。

武道とは戦闘術を身につける厳しい鍛錬の中で自らの“精神力”を鍛えることが本当の目的なのです。
真に鍛えるべきは肉体ではなく、「精神」なのです。

肉体のみ鍛えればいいのであれば、闘い方(技)だけ身に付けばいいのであれば、その最終的に行きつく先は殺人術でしかありません。
殺人術は戦争では大事ですが、日常生活において、人生において無用のものです。
しかし、「武の道」は日常生活の中にあり、人生の中にあるものです。
武道者が歩む道は、「他人と闘う道のように見えるが、本当は己との闘いである」ということなのです。

《真なる強さとは?》

では、武道者が追い求める「真の強さ」とは何でしょうか?

人生には「悩み」「苦悩」「挫折」「葛藤」などの苦しみがあります。
それらとの闘いが人生だということができます。

その闘いは他人との闘いではありません。
他人や環境と闘っているように見えて、真の相手は自分なのです。

結局、己の弱さ、己の未熟さ、己の穢れ、によって人生が狂ってしまうのです。
それを他人や環境のせいにしてはいけないのです。
自分が人生を歩む中で負けそうになったときに他人や環境のせいにするのは卑怯なことなのです。

武道者であるならば、まず排除すべきは「卑怯な振る舞い」です。

卑怯な振る舞いをするということは、「自分との闘いに負けている」ということを知らねばなりません。

真なる敵は己であり、己の中にいる「魔」「弱さ」「欲望からの誘惑」なのです。

そうした真なる敵と闘うための強さを身につけるのが「真なる武の道」なのです。

要するに、己の弱さ、己の未熟さに勝つ者こそ「真の勝利者」なのです。
それを目指すのが武道者の「道」なのです。

肉体の鍛錬は、精神の鍛練につながってこそ真に意味があり、武術の技の向上が生きる強さを生み出す精神力となってこそ意義があるのです。

結局、肉体の強さだけを求める者は真の武道者ではなく、真の武道者に成り得る者とは、己と闘い勝利する者である、ということです。
己という最大の敵と葛藤しない者は、最強となり得ません!

《まとめ》

「試合に勝つことが強さの証明」ではない。
試合に勝つことが武道者として勝利者となるわけではない。
「試合に勝つ」=「武道者としての勝利」ではない

「武の道」は、「精神の修練」「心の修行」という意味を外しては「武道=武の道」とは呼べない。

人生において最大の敵はいつも自分。
「己の未熟さ」を認識し、「己の弱さ」「己の精神向上を邪魔するもの」と闘い続ける者が真の武道者。
真なる敵は己であり、己の中にいる「魔」「弱さ」「欲望からの誘惑」。

「武の道」は日常生活の中にあり、人生の中にあるもの。
武道者であるならば、まず排除すべきは「卑怯な振る舞い」。

真に鍛えるべきは肉体ではなく、「精神」。
己の弱さ、己の未熟さに勝つ者こそ「真の勝利者」。

『心得7』

『武道とは、他人との闘いにあらず。己との闘いなり。己の弱さに勝てずして、他人に勝つこと叶わず! まず己と闘え! 己の弱さに打ち勝て! 己の弱さに打ち勝ったとき、そこに道は拓ける!』

押忍!

『心得8 ~技で劣るとも、気迫で負けるな!~』

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