『攻防編6 ~動きを読まれず、相手の動き見抜く、攻防とは「騙し合い」なり!~』
Pocket

勝利の秘訣【攻防編】6

『ときには意表をつく技(奇襲攻撃)を出せ。それによって相手の判断を混乱させ、動きに迷いを作り出すことができる。自分流の奇襲攻撃を考え出せ!』

【解説】

《攻防の基本は“読み合い”》

今回は、パワーや技の差ということを一旦横において、違った角度から勝利するための方法を探っていきます。

具体的に言います。
相手が、右の逆突き(右ストレート)で攻撃してくる、と分かっていたら、あなたならどう防御又は反撃しますか?
何らかの手を打つのではないでしょうか?
また、分かっていたら対応は容易ではないですか?

空手では、「約束組手」という練習方法があります。
約束組手とは、特定の技(攻撃)を出すことをはじめに決めておいて、それに対する防御や反撃などの練習をする方法です。
要するに「こう攻撃するよ」「この技で攻撃するよ」、「こちらはそれをこう捌くよ」「こちらはそれをこう反撃するよ」という約束をした上での攻防の練習です。

この約束組手の練習は、実戦に近いものなので、非常に有効です。
ですが、欠点もあります。
それは、相手が出す攻撃技をお互いに分っているため、他のことを考えない、又は想定しない(注意しない)ことです。

限定している攻防であるからこそ、スムーズに動くことができるのです。
それは「分かっているから」なのです。
この意味は、重要です。
つまり、相手が攻撃してくる瞬間、相手が攻撃してくる技が分っていたら、スムーズに対応できるということです。
ここに闘いの要諦があります。

しかし、試合ではそうはいきません。
相手がどんな技で攻撃してくるのか、分かりません。
分ってしまったら、当然、対処されてしまうからです。

つまり、試合では、いかに自分の攻撃(動き)を分らなくするのか、という攻防における技術が求められるのです。

これは、基本練習だけでは身につかない技術です。
経験と勘、才能と努力が必要なものです。

試合に勝利するためには、約束組手や、本番に近い組手などの実践的な練習をする必要があります。

結局、勝利を導く「強さ」とは、パワーや気合、技における技術の差、だけではないのです。
そこには「読み」または「騙し」という攻防における技法が重要となってくるのです。

《相手を混乱させ、動きを読まれないためには?》

勝利する“コツ”は、相手を「迷わせる(混乱させる)」ことであり、相手にこちらの動きを「読まれない」ことです。

勝利するために重要なことは、相手を「混乱させる」「迷わせる」ことなのです。
試合で勝利する選手は、おしなべてこの技法を上手に使用します。
逆にいうと、いかに体格が良くても、いかに切れのある技をもっていても、それだけでは勝利することは難しい、ということです。

簡単に言うと、勝利の秘訣は、相手を「迷わせ」、こちらの動きを「読まれない」ことです。

〈同じ技を繰り返し使わない〉

相手に自分が攻撃することを読まれないためには、同じ技を連続で出したり、試合中、その技を多用しないことです。

武術初心者の人は技のレパートリーも少なく、攻防に関する経験も不足しているので、どうしても得意技や決まったパターンでの攻撃開始をしてしまいます。
同じ技を3回続けて使用すること(連続で)は、よほどの意図が隠されていないならば、止めることです。
熟練者は、同じ技が3回来ると必ずその技に対抗する反撃を瞬時に考案し、対処してくるからです。
猛者は、2回目でも対処してくることもあります。
試合中、同じ技ばかり繰り返し使用して攻撃することはやめましょう。

試合では、緊張し、夢中になってしまいます。
頭のなかで「これはこう」とすべて判断(考案)して行動することは稀です。
むしろ、直感や経験による知恵で闘うことのほうが多いはずです。

では、どうすればいいのか?

それは練習の中で、そうしたことを想定して練習することです。
組手練習をするときに、自分の動きをもう一人の自分が意識的に観察して、さまざまな動きや技の出し方を変える動きをしてみることです。
練習でしていないことは、試合ではほぼ出てこないと思ってください。
そこで出てくるものは、その人の持つ天賦の資質なので、練習によって身についた、というものではありません。

〈モーションをつけない〉

熟練者(上級者)になればなるほど、攻撃に入るときのモーションは限りなくゼロに近づきます。
ですが、武道初心者、または黒帯を取って間もない方の中には、攻撃に入る瞬間にほんの少し、特定のモーションが現れることがあります。
それは癖である場合もあります。
癖の場合、本人は気がつかないことになります。

そうしたモーションを見抜かれると相手に瞬時に対応されてしまいます。
避けられる、カウンターを合わせるなど。

攻撃に入る瞬間の動きにモーションをつけない訓練を日頃からしてください。
そのためには鏡のある場所で練習するか、他の人に指摘してもらうなどしてください。

〈不規則な動きをする〉

同じ技を出さなければいいのか?
というと、そうでもありません。

動き(攻撃と防御の両方)にパターンがあると、そのパターンを相手に読まれてしまい、相手の思うツボにはまってしまいます。

リズムを取ったり、基本に忠実な動きをするのは良いのですが、時計の針のように決まりきった動きしかしないと、相手はその動きを掌握してしまいます。
それは「攻撃を避けられる」「反撃をくらう」ことに繋がってしまいます。

特に性格が真面目な方はこの点を注意してください。
ときには、不規則な動き、奇妙な動き、不可解な動きをすることが必要なときがあります。

兵法でいうところの「奇襲」は武術における闘いにおいても勝利するための必須条件だと思ってください。

〈隠し技、隠し戦術を使う(持つ)〉

上級者に近づいて来たら、得意技を最低2つ以上磨き上げてください。

そして、出来れば持っている得意技をいっぺんにだすのではなく、片方は温存してください。
(圧倒的な不利な闘いでは、逆にいっぺんに出す)
これは、相手が同等の実力の場合における攻防の技法です。

つまり、攻防が行き詰ってしまったとき、負けそうな状況に陥ったとき、決着がつかず綱引き状態のとき、などでもう一つの得意技をだすのです。
すると、相手はその技が来るとは思っていないので、意表をつかれてしまうのです。

持ち技を全部出さずに、とっておきの技を隠しておいて、“ここぞ”というときに使うのです。
それによって「奇襲攻撃」と同じ意味を持たせることができます。

相手が同等以下の実力の場合に限りますので、ご注意ください。

《自分流の攻防技術を生み出せ!》

攻防技術においては、武術家の数と同じ数の攻防方法があると思われます。
同じように見えても、どこかが、なにかが、違うからです。
ですから、単に強い人、上手い人の闘い方や技術を真似るだけにとどまらず、自分流にアレンジしてください。

自分の体格、反射神経、反応速度(スピード)、腕力、経験値、などにあわせて自分流の「奇襲攻撃」、自分流の「不規則な相手を惑わす動き」、自分流の「動きを読まれない騙しのテクニック」を磨いてください。

単なるモノ真似では、最終的な勝利者とはなれません。

《まとめ》

相手が攻撃してくる瞬間、相手が攻撃してくる技が分っていたら、スムーズに対応できるということが「闘いの要諦」

試合では、いかに自分の攻撃(動き)を分らなくするのか、という攻防における技術が求められる。

勝利を導く「強さ」とは、パワーや気合、技における技術の差、だけではない
そこには「読み」または「騙し」という攻防における技法が重要となってくるのです。

勝利する“コツ”は、相手を「迷わせる(混乱させる)」ことであり、相手にこちらの動きを「読まれない」こと。

相手にこちらの動きを読まれないためには、
「同じ技を連続で出さない」
「同じ技を多用しない」
「攻撃に入る瞬間の動きにモーションをつけない」
「動き(攻撃と防御の両方)に特定のパターンをつけない」
「不規則な動き、奇妙な動き、不可解な動きをする」
「とっておきの技を隠しておいて、“ここぞ”というときに使う」
「自分流の“奇襲攻撃”、自分流の“不規則な相手を惑わす動き”、自分流の“動きを読まれない騙しのテクニック”を磨く」

「奇襲」は、武術における闘いにおいても勝利するための必須条件。

攻防編6

『ときには意表をつく技(奇襲攻撃)を出せ。それによって相手の判断を混乱させ、動きに迷いを作り出すことができる。自分流の奇襲攻撃を考え出せ!』

押忍!

『攻防編7 ~相手の攻撃をもらわず、勝利するための秘訣!~』

おすすめの記事